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【温室効果ガス 30%削減の衝撃】(3)排出枠取引 産業界は反対(記事スクラップ)

2009.8.28 08:40
http://sankei.jp.msn.com/economy/business/090828/biz0908280844003-n1.htm

7月初旬。日本経団連の御手洗冨士夫会長と名誉会長の今井敬新日本製鉄名誉会長(元経団連会長)は、都内の料亭で民主党の岡田克也幹事長と向き合っていた。

 今井氏らは「世界全体の温室効果ガス排出量のうち、日本の排出量は4%に過ぎない。中国やインド、米国などの主要排出国がポスト京都議定書の枠組みに参加せず、日本だけが高い目標を掲げても意味がない」と切り出した。そのうえで「日本が高い目標を掲げるのは、あくまでもこれらの国が参加する枠組みを前提にしたものにしてほしい」と求めた。

 民主党が今回の衆院選で掲げたマニフェスト(政権公約)では、温室効果ガスの排出量を2020(平成32)年までに90年比25%(05年比30%)削減するとの目標を打ち出した。しかし、すでに同党は昨年6月と今年4月、この目標を盛り込んだ「地球温暖化対策基本法」を国会に提出している。

 この法案は2回とも廃案になったが、法案づくりは同党の地球温暖化対策本部長を務める岡田氏が中心となって進められた。マニフェストに盛り込まれた目標も同法案を踏襲したといえる。今井氏は会談で、民主党の環境政策の中心人物である岡田氏に基本的な姿勢をただしたのだ。

 これに対し、岡田氏も中国や米国などの参加を前提とすることには理解を示したという。岡田氏は財界へのマニフェスト説明で「私たちは日本だけがやせ我慢で25%(05年比30%)削減でいくと言っているわけではない。米国や中国、インドが入ることを前提にしている」と述べ、関係者はひとまずほっとした。

                  

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 だが、民主党がマニフェストで掲げた環境対策は、温室効果ガスの削減目標だけではない。この目標を達成するため、各企業に排出量の上限(キャップ)を課し、キャップを超えて排出する企業には排出枠の購入を求める「キャップ・アンド・トレード方式」と呼ばれる排出枠取引市場の創設も打ち出している。

 欧州で導入が進む排出枠取引に日本の産業界は強く反対してきた。排出枠を売買するだけでは実質的な排出削減につながらないだけでなく、取引そのものに重点が置かれて環境技術の開発促進を阻害しかねないとみているからだ。

電力業界関係者は「欧州の排出枠取引はあくまでも金融取引の一種であり、金融機関や取引所が利ざやや手数料を稼ぐ手段に過ぎない」と批判する。

 実際、CO2排出枠の価格は思惑先行で激しく変動している。昨年7月に1トンあたり4千円近くまで上昇した価格は、今年2月には同1千円前後に急落した。市場では「投資目的で購入した大手金融機関が世界同時不況による資金難で大量売却して価格が下がった」との観測が流れた。

 また、企業に課す排出上限をどう公正に決めるかという問題もある。

 財界幹部は「個別企業に排出上限を課す排出枠取引が導入されれば、それを決める政府が企業の生死を左右することになる」と懸念する。厳しい上限枠を課せられた企業は海外に生産拠点を移転し、「国内に残るのは海外に移転できない電力会社などの一部にとどまるのではないか」(経済産業省幹部)との見方すらある。

                  

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 わが国の産業界は、日本経団連の自主行動計画にもとづいて各業界が削減目標を掲げ、温室効果ガスの排出削減を進めている。

 この結果、省エネ化を進めた工場などの産業部門の排出量は、平成19年には京都議定書の基準年である平成2年と比べて2・3%の削減を達成した。エアコンなど家電製品の導入が進んで2年比で40%以上も増えた家庭部門と大きな違いをみせた。

 日本経団連や鉄鋼業界などは昨年5月、民主党の要請に応じ、環境・エネルギー問題などの合同会議に出席し、温室効果ガスの排出削減に向けた自主的な取り組みなどを詳しく説明した。だが、民主党側からは何の質問も出ず、出席者からは「産業界の努力は評価されないのか」と落胆の声が漏れた。

 日本経団連や業界団体はその後も機会をみつけて民主党に対して産業界の意見や要望を伝えている。だが、「民主党からは具体的な反応は何もない」(鉄鋼業界関係者)という。衆院選後に民主党が政権についた場合、産業界の声はどこまで届くのか。企業関係者は憂慮の色を深めている。

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