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海外旅行保険への過剰請求が横行!上海の高額すぎる外国人への医療費

http://diamond.jp/articles/-/3297
2009年10月29日:姫田小夏 [ジャーナリスト] (記事スクラップ)

上海で日本人駐在員が現地総合病院に1週間入院したときのことだ。その豪華な部屋の様子と対応のよさを菊田幸司さん(仮名)は次のように話してくれた。

「部屋にはバス、トイレ、30インチのフラットテレビ、来客用ソファーがついていて、ちょっとしたホテルでしたね。看護士も頻繁に顔を出してくれ、お手伝いさんは2交代制で付き添う。食事は中華か洋食を選択できて、気になることにはすぐ医師が駆けつけてくれるんです。レントゲンなどの設備を使う場合も、常に行列の最前列に通してもらえて……」

 それに比べると一般市民の診療は地獄のようだ。早朝5時に家を出てひたすら順番待ち。広域から病人が大挙して押し寄せるため、診察の申し込み、検査、診察、処方と病身をひきずりながらも一通りこなすにはほぼ一日がかりだ。

 診察の精度、患者の扱いに対しては誰もが不満を抱く。入院となればなおさらで、無表情の医師に目を掛けてもらえるようにと裏で札束が動く。カネとコネがなければまともな医療は受けられない、生き地獄とはまさにこのことである。

 上海にはこうした一般市民向けとは別に、上述のような外国人向けの特別診察室がある。料金差は10倍以上とも。さらに現金支払いではない「海外旅行保険」を持った日本人は上客だ。病院側は「もっと請求できる」とばかりに超VIP級の待遇という付加価値をつけて課金しようとする側面があることは、在住の日本人の間でも問題視されている。

 事実、菊田さんは次のように語っている。

「過剰と感じる施術もありました。退院日も教えません。これってやっぱり金儲けか、と疑いました」

 上海で医療はビジネス――。一部には、あるべき医療を追求する良心ある医者が存在することは筆者も知っている。だが、海外旅行保険に加入している日本人に少しでも多く請求しようという、ここ数年の傾向は否定できない。それを助長するのがキャッシュレスサービスというしくみだ。

 キャッシュレスとは、提携病院であれば患者が費用を立替することなしに治療を受けられる海外旅行保険のサービスのことで、上海でもここ10年で普及した。それは、患者にとって極めて便利であるはずのしくみだった。

ところがキャッシュレスが普及するとさまざまなトラブルが発生するようになった。患者が友人から借りた保険証でちゃっかり診察を受けてしまう「なりすまし診療」、現地医療機関と結託して「海外旅行者保険」を使って持病を治療する「慢性病診療」。これらは患者側が行うサービスの悪用だ。

 一方で、患者を利用して病院が保険会社から高額な保険料を請求するケースもある。筆者も巻き込まれたひとりだ。ヘルニアを疑われ、現地の医療機関でMRIを使って検査したのだが、後日、トータルの請求金額に驚いた保険会社が電話を掛けてきた。本人のあずかり知らぬところで、ブラックリストに名前が掲載され、「次回はうちの保険を利用できなくなるかもしれません」とまで告知されたのだ。

 筆者以外でも、患者の懐が痛まないことをいいことに、べらぼうに高額な医療費が請求されているケースは多々ある。実際、某大手保険会社も「大病院ではなく、外国人向け医療機関に実際以上の請求が見られる」とコメント。上海の医療機関は金額を能動的に告知しないところが多い(明細書を見せないのは後ろめたいところがあるのではと思われても仕方がない)のだが、患者も「費用の明細がわからない」のを放っておく手はない。

「確かに中国の医療費は、日本の医療費(10割負担で計算)と比較しても高いと思います」と上海の医療機関の関係者もそれを認める。

 医療費が高いという背景にはいくつか要因がある。中国は自由診療だというのもそれ。料金設定は各医療機関が自由に決定でき、行政もこれをコントロールしないことが、医療費を高額にしていることの一因だ。輸入した薬品を使う、あるいは最新医療機器を使って検査・治療するなどの近年の新たな傾向が、上海の医療費全体を押し上げているという背景もある。

 もともと医療レベルが高くない(*1)土地で日本人が納得いくような医療を行うには、インフラ、設備、日本語人材と相当投資をしなければならないことも確かだ。日本人の患者もまた、そこに安心感という付加価値を求めている。ある意味で「高い医療費」も需要と供給のバランスはとれていると見ることもできる。

(*1)乳児死亡率で見ると中国は1000人中41.4人。これは日本の昭和30年代に相当する(総務省統計局)

 だが、本人が財布を開かなくていいキャッシュレスサービスは不正の温床という側面があることは否定できない。不当な請求であっても、患者自身がそれに気づかないからだ。

もうひとつ、エージェントという存在も見逃せない。医療機関と保険会社の間に立って、請求された医療費が適正かどうかをチェックする役目を負うのがエージェントだ。請求書に無駄な検査、過度な検査がないか、持病ではないか(保険は持病をカバーしない)、領収書に偽造はないかどうかなどを、保険会社の代わりとなってチェックする。だが、ここに来てチェック機能が問われるようになっているのだ。

「医療機関から保険会社に回す請求書が事実上奪い合いになっているのです」と事情通は明かす。争奪戦に発展するのは、請求書をチェックするごとに相当額のコミッションが入ってくるからだ。

「会社など団体での加入するケースなどは、自分たちがデスクを置く病院に患者を誘導するためにエージェントが保険証書を預かってしまうこともある」と上海のある医師も打ち明ける。このような状況では、病院から回ってきた請求書に不正があったとしても、エージェントは医療機関に対してクレームすらつけられなくなってしまう。

「このままでは保険金の支払いが増加し、損害率が悪化してしまいます。すると今度はその分が保険料に反映され、お客様がご加入時にお支払い頂く保険料も高くせざるを得ない。弊社を選んでくれるお客様のためにも、請求書はきちんとチェックするとともにその体制も整えなければ」(ジェイアイ傷害火災保険 海外サービスセンター 加藤修課長)と危機感を募らせている。

 今回の取材で、ある保険会社から「今年のある月のインフルエンザA型の請求例」を見せてもらった。驚いたことに、14万円を超える請求もあった。平均は8万2000円。

 筆者の通う東京のかかりつけの医療機関でなら、初診料、検査費、処方箋に薬代を加えても、1万円を少し出るくらいの全額負担で済む。まじめに明細を出せる医療機関もあれば、こんな請求を平気でやってのけるところもあるのだ。

 確かに、どれだけの高額な医療費を請求されてもキャッシュレスであれば患者の懐は痛むことはない。だが、キャッシュレスという利便性の裏側で悪用されているこの実態を、利用者でもある読者諸氏はどうとらえるだろうか。あまりに高額な医療費を患者自身が負担感覚なしに使い続けることへの疑問が、今上海で高まっている。

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